第8回 AGIからASIへの進歩を妨げるもの

Google DeepMind「From AGI to ASI」完全解説|第8回 / 全9回

データ、資源、研究の難化、抽象化の壁、身体性、そして社会による減速

シリーズ ERF Research Companion Series No.1

版 Publication Edition / Version 1.0 / 2026

キーワード ボトルネック / データ / 身体性 / ガバナンス

概要

これまで、Google DeepMindの『From AGI to ASI』が示す四つの技術的経路を検討してきました。

これらの経路を見ると、AGIが実現した後もAIの能力向上が続き、やがてASIへ至る可能性があるように思われます。

詳細目次
  1. はじめに
  2. 第1節 六つの主要なボトルネック
  3. 第2節 第一のボトルネック――データの壁
  4. 2.1 なぜデータが不足するのか
  5. 2.2 データ量とデータ品質
  6. 2.3 AI生成データは解決になるか
  7. 2.4 高品質な合成データ
  8. 2.5 数百万・数十億人の利用者が生むデータ
  9. 2.6 データの壁が強く作用する経路
  10. 第3節 第二のボトルネック――経済的・自然資源需要の急増
  11. 3.1 AIは純粋な情報技術ではない
  12. 3.2 経済的に持続できるか
  13. 3.3 半導体だけではない
  14. 3.4 AIが資源効率を改善する可能性
  15. 3.5 資源需要が強く作用する経路
  16. 第4節 第三のボトルネック――現在のニューラル・パラダイムの限界
  17. 4.1 現在の方法でAGIに到達できるのか
  18. 4.2 現在のパラダイムが進化する可能性
  19. 4.3 根本的問題かもしれない欠点
  20. 4.4 この壁への対抗要因
  21. 4.5 四経路との関係
  22. 第5節 第四のボトルネック――研究の難化
  23. 5.1 「低い枝の果実」がなくなる
  24. 5.2 AI研究にも同じことが起きるか
  25. 5.3 人工研究者が状況を逆転させる可能性
  26. 5.4 認知労働と実験を区別する
  27. 5.5 四経路との関係
  28. 第6節 第五のボトルネック――抽象化の壁
  29. 6.1 人間の概念を学ぶAI
  30. 6.2 再結合と新概念の発見は異なる
  31. 6.3 ベンチマーク飽和の別の解釈
  32. 6.4 個体AGIの天井と集合的ASI
  33. 6.5 抽象化の壁を越える方法
  34. 第7節 身体性・現実接地のボトルネック
  35. 7.1 新概念は現実によって検証されなければならない
  36. 7.2 物理時間は圧縮できない
  37. 7.3 知能爆発への直線的な制約
  38. 7.4 デジタル領域と物理領域の差
  39. 第8節 第六のボトルネック――意図的な減速
  40. 8.1 技術的に可能でも、社会が許可しない場合
  41. 8.2 労働と社会契約
  42. 8.3 重大事故と社会的許可
  43. 8.4 ガバナンスは単なるブレーキではない
  44. 8.5 国際競争による反作用
  45. 第9節 六つの制約はどのように重なり合うのか
  46. 9.1 データの壁と抽象化の壁
  47. 9.2 抽象化の壁と身体性
  48. 9.3 研究難化と再帰的自己改善
  49. 9.4 資源制約と国際競争
  50. 9.5 事故と進歩速度
  51. 第10節 AGIでちょうど進歩が止まる可能性
  52. 10.1 AGI以前に停滞する可能性
  53. 10.2 AGIから弱いASIへ比較的滑らかに進む可能性
  54. 10.3 急激な知能爆発
  55. ERF Commentary
  56. 第11節 大学はAIの摩擦を減らすだけの制度ではない
  57. 第12節 データの壁と大学の知識資源
  58. 第13節 抽象化の壁と人間の研究
  59. 第14節 身体性と大学
  60. 第15節 研究の速度と学問の時間
  61. 第16節 意図的な減速と大学の公共的責任
  62. 第17節 大学は「アクセル」と「ブレーキ」の両方を担う
  63. 結論